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オレオ

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2012.09.24 Mon 「 frowerstorm of recollection?遙か4 忍人×千尋
昔忍人と千尋が会ってたら。
「めーずらしいもん見たなー。忍人が風早といる」


透明な青空白いほど薄い薄紅の桜

さらさらと風に煽られる御簾のような金の髪

のらくらと笑顔で全てを躱すような兄弟子が、姫、と呼ぶのは、二人いる王族直系の姫君の妹姫だけだった















忍人が読み終えた竹簡を持って保管庫へ向かう途中、青空よりも濃い髪が忍人の視界に入った。

(あれは……)

最初ここに来たときに自分を子供扱いした兄弟子の一人だ。

名は確か風早、とか言っていた。

子供扱いされたことも、あの笑顔も何となく苦手で余り関わりたくは無いが、こうして見つけてしまった。

気付いていないのだから無視してしまえば良いのだが、気が咎める。

忍人は息を軽く吸い込んだ。

「風早、殿!」

風早はゆっくりとこちらを振り向いて、色の濃い瞳を柔和に細めた。

やっぱり苦手だ。

なんだか見透かされていそうで。

自分の幼さと底の浅さを見破られたようで、この瞳が落ち着かない。

くっと忍人の幼い眉間に皺が寄った。

「忍人、だったね。何処かに行くのかい?」

「はい、保管庫へ。風早殿は鍛練ですか?」

最初に会った兄弟子たちのうち風早と柊が苦手だが、他の者から聞くと相当な手錬らしい。

今の自分では練習相手にもならないから、鍛練を見てるだけでも―――。

「いや?俺はこれから姫様と出かけるよ」

「……は?」

鍛練だと思っていたのに、遊びに行く?

王族の姫を、最も貴いとされる神子を連れて?

「君も来るかい?」

「なん…っ何を考えてるんですかっ」

「嫌かい?」

「そういうことではありません!」

怒鳴りすぎよりも、「王族を連れて遊びにいく」事態に少し頭がくらくらする。

否、きっとこの何も考えて無さそうな兄弟子のせいだ。

神子とこの兄弟子。

並べば下手したら恋仲のように見えるのではないか。

御歳十八の姫と。

怒りか焦りか別の要因かで頬を蒸気させた忍人を見て風早はやっぱり笑った。

「うん、やっぱり来ると良いよ。

ここまで怒られたのも初めてだけど君は怒ってるほうが年相応だねぇ」

「余計なお世話ですっ」

「それに、」

風早は言葉を切って肩越しに後ろを見る。

広大な土地に広がる橿原宮。

木々や他の建造物、宮との近さもあり、見えるのはほんの一部。

「それに姫様との歳も、おれより忍人のほうが近い」

「…は?」

姫と風早の年齢差はひとつの筈。

訝り、何かがひっかかったところで溌剌とした声が届いた。

「めーずらしいもん見たなー。忍人が風早といる」

羽張彦がひらひらと手を振りながら近付いて来る。

彼を認め笑むと、風早は忍人が持っている書簡を持ち、羽張彦に渡した。

「何をするんですか!」

「おれと忍人は今から姫様と出かけようと思うから、それを戻して欲しいんだ」

暇なのだろう?と重ねる風早に羽張彦は笑った。

「お姫さんの方か。宜しく言っといてくれ」

それから忍人を見、くしゃりと撫でた。

「少し、気を抜いておいで。その歳からそんなだと疲れてしまう」

忍人と、誰かもうひとりに言うように。

おれたちのお師匠もああだしなぁと笑う羽張彦に見送られ、忍人は風早に連れられ橿原宮へと赴いた。













取次を頼んで待っている間、忍人はじわじわと緊張していた。

なんだか簡単に連れて来られたが、会うのは一国の王女。

ちらりと風早を見ると、常と変わらないどころが寧ろ鼻歌すら歌いそうなほどの笑顔だ。

何故そんな気楽にしているのか。

というか王女がそんな簡単に姿を現していいものなのか。

間者だったらどうする。

妙に苛々としてきた忍人を察したのか、風早は口を開いた。

「おれはね、姫さまの教育係だよ」

「は?」

訝っていたことの答えに更に疑問か生まれる。

「姫の教育係が武官で良いんですか?」

「一応護衛も兼ねているからね」

「……中つ国は姫付を削るほど貧窮してはいない筈です。

龍に守られた国が、龍の声を聞く神子の、」

忍人は言葉を止めた。

付き合いは長くはないし、苦手だから避けてさえいたがいつもにこにことしている風早が、少しだけ、哀しそうに笑っている。

「おれが姫とお慕いするのは、君が思っているより小さな女の子だよ」

「―――風早っ」

忍人が何かを言う前に甲高い声が遮った。

忍人が何かとその声の主を辿る前に、風早は身を翻して走った。

ぶつかる前に風早は少女を抱えあげ、少女の長い髪だけがふわりと揺れる。

まっすぐに風早に抱き付いた小さな人影は、風早が影になり忍人は見えない。

「風、早……」

消えてしまいそうなか細い声は泣いているように聞こえた。

「…それでは」

妥女は颯爽と踵を返して宮へ入っていく。

少女を抱き上げたままの風早は、頭を下げる代わりに睫毛で瞳を陰らせるに止めた。

風早の言う「姫様」はこの少女だろう。

姉姫と比べ遥かに口端に上らない姫だから、存在を忘れていた。

この、龍に守られた国で―――

「龍神さまの声がきこえないの、風早…」

「大丈夫。大丈夫ですよ、姫様。

前にも言ったでしょう?

聞こえないものを聞こえないと言う、その心を大切にしてください。

…泣かないで……」

「泣か、ないもの」

そう言って暫く意識して呼吸を繰り返すと感情の波が過ぎたらしい。

弧を描いた口許だけが漸く忍人に届いた。

「姫、今日は私の弟弟子を連れてきたのですよ。

姫とも歳が近いので気が合うのではないかと」

「風早の友達ではないの?」

降ろしながら、友達と言えば怒られてしまいますねぇと朗らかに言う風早に姫は小さく笑って、自分の足で立った。

忍人より年下の、まだあどけないつくりをしたニノ姫。

「…葛城、忍人と申します」

「おしひと?」

まだ少し濡れた蒼い瞳がきらきらとして、その分だけすぐ砕けてしまいそうで怖くて、忍人は黙った。

だが幾つか瞬きすると、その姫は涙が滲む瞳で爛漫に笑った。

透明な青空よりも、空気を彩る白いほどの薄紅の桜よりも、金の髪が、蒼い瞳が、笑顔が鮮やか過ぎて。

「泣いてしまったこと、内緒にしててね、忍人」

「…はい……」

強くなりたいと、思った。

此処に来たのは強くなって国を守りたいから。

けれど、そんな漠然としたものではなく明瞭な想いが胸を締め付ける。

この姫の笑顔が、涙で濡れないよう。

涙を流す全てから、いつか守れたら、幸せだけの笑顔が、見たいと、思った。


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