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オレオ

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2012.09.18 Tue 「 Black smile? White smile? I love his smileコルダ 柚木×香穂子
香穂子の旧友と再会。
「不機嫌なだけだ」

休日の午後。

アイスティーをアイスコーヒーを挟んで座る愛しい恋人と二人きり。

なのに。

何でだろう、このとてつもなくぴりぴりした雰囲気。

「あの、柚木先輩?怒ってますか?」

分かっているけれど最後の、一抹の望みをその言葉に託した。

質問には何も答えずに、にっこりと綺麗な、だから怖い微笑が返ってきた。

答えなんて、それで十分。

「・・・・・・っ」

盛大に出そうになった溜息を噛み殺して、今に至る経緯を思い出す。

数十分前――――。












「香穂子っ?!」

映画館の前で、同じ年頃の女の子に呼ばれた。

名前を」呼び捨てで呼ぶ人など限られているが、学院の友達ではなさそうだ。

だけれど、何となく見覚えは・・・・・・。

「やだっ久しぶり!」

「思い出してくれなきゃどうしようかと思ったよ!」

きゃあきゃあと再開を果たしていると肩に手を置かれた。

「香穂子?」

「あっ、すみません先輩。小学校と中学校まで一緒だった友達なんです」

紹介を受け、こんにちは、と完璧な笑顔で挨拶をした。

それを笑顔で応えた友人は視線を此方に向け、紹介を促した。

「えっと、学校の先輩で、その・・・」

恋人だと言うべきか考えあぐねているとかちりと視線が合ってしまった。

金の瞳は黒い笑顔を伴って、強制的な力で促してくる。

「付き合ってる、の」

途端、友人はぱっと花のような笑顔を見せた。

「やるじゃない香穂子っ」

ばしばしと叩かれる肩が痛いが、そのテンションにつられて笑う。

ひとしきり叩くとぴたりと止め、じっと柚木を見つめながらぽつりと呟いた。

「・・・少しあんたが片想いしてた子に雰囲気似てない?」

「・・・・・・・・・は?」

背後の気配の変わり振りを気にしながら必死に記憶を手繰った。

確か共通点は人に接する時の物腰の柔らかさのみだ。

と、言うよりも余り覚えていない。

「・・・・・・そうだっけ?」

事実半分、止めて欲しさ半分の気持ちを詰め込んで盛り込んで精一杯旧友見つめた。

「いや、うん、あたしも覚えてな・・・」

視線の意味を汲んでくれたが、そのまま続く筈の台詞は遮られてしまった。

・・・正確には遮られたのは香穂子。

柚木先輩は両手で香穂子の口を押さえて首を倒すように手前へ力を込めて体勢を崩させ、一瞬呆気に取られた旧友の表情を軽やかに無視して、あの綺麗な笑顔を向けた。

もう、髪の動きまで想像出来る。

その辺の女の子なら顔を高潮させるような。

友人も勿論例に漏れない。

「君が構わなければその話、詳しく聞きたいな。

・・・・・香穂子の事は何でも知りたいんだ」

「っ・・・・・・はいっ」

「ちょ・・・んく!」

簡単に気前良く応の返事を叩き出した友人を止めようとした声は更に力が篭った柚木の手の中で消えた。

それから。

反論はおろか否定肯定しようにも、口を押さえるついでに頭を肩口に押し付けられ一切動かない。

反して彼女はどんどんと喋り続ける。

元々饒舌な子だったが、柚木先輩の微笑と絶妙な相槌が絶大な威力を発揮して拍車をかける。

だけれど時間が経つほどに黒いオーラの濃度が高まっている気がする。

いい加減その体勢が疲れた頃合を見計らって言葉巧みに止めてくれた。

指の隙間から掠めるようにしていた呼吸を戻すのもままならない侭に手近な喫茶店に入って数十分。

そして、冒頭のやり取り。

「あの・・・柚木先輩?怒ってますか?」

恐る恐る聞けば不安を裏切らない微笑。

現状をどう打破して良いか分からず、思わず吐きそうになった溜息を口内で噛み殺した。

「怒ってはいない」

柚木は口調とは打って変わってうっすらと瞳を開けて優しげに笑って見せた。

「不機嫌なだけだ」

詰まりかけた息を押し戻して何とか反論を試みた。

「あのですね。先輩?あたしでも忘れてる初恋の事で不機嫌になられても・・・」

「違う」

「いや、違わないですよ、あたし本当に覚えてな・・・」

そこまで言うと柚木は遮るように溜息を吐いた。

「・・・馬鹿だなお前」

「なっ、ば・・・?!」

反射的にその台詞に反抗しかけたが、ほんの数秒前に覚えてないと言ってしまっている。

自分で自分の首を絞めた気分だ。

「じゃあなんで不機嫌なんですか・・・?」

色々な要素が涙腺を刺激する前に訊ねてみると面白くなさそうに鼻を鳴らした。

「お前は表向きの俺の方が好きか?」

「はあ・・・・・・?」

質問の意図が分からずに疑問符が口をついた。

「初恋の男が優しい男だったんだろ?」

「はあ・・・」

唯一印象的に今も覚えているところ。

小学校低学年では学年に二人三人いれば良い方、といったタイプだったから。

そこまで考えて柚木の質問の意図と考えを、視界が開けるように唐突に理解した。

「・・・・・・妬きもちですか?」

「・・・お前が望むなら態度を変えるくらいは出来ると言ってるんだ」

「――――ふふっ」

堂々と、だけれど憮然として言った先輩が自棄に小さな子供のように視えた。

――――妬きもちだと思うと、嬉しかった。

只でさえ不機嫌なのに余り笑うと怒られそうなので取り敢えず、気持ちを伝えようと口を開いた。

「あたし、柚木先輩が好きですよ」

少し、照れるけれど。

「最初は表の顔しか知らなかったし、突然にらまれたときもびっくりしましたけど、だけどそれは・・・・・・」

少し区切って柚木先輩を見る。

続き、と促すのは大切に想ってくれている証拠。

「それは、あたししか知らない柚木先輩がいるんですよね」

気持ちが顔に出やすいあたしはきっと満面の笑顔なんだろう。

「あたしは柚木先輩が好きなんです。
あたししか知らない柚木先輩も、柚木先輩なら大すきですよ」

「――――ふ、」

俯いて顔は見えないけれど肩が震えている。

・・・・・・笑ってる?

「あの、柚木せんぱ・・・」

喋っているのを遮られるのは今日何度目だろう、とか。

引き寄せられた首が痛い、とか。

周りの女の子が煩いな、とか。

そんなことどうでも良くなった。

驚いて目を見開いたあたしの視線の先にはピントが合わないほど近い先輩の顔。

今日あたしの口を塞いだのは二回目は柚木の唇。

唇の柔らかさを感じるだけのキス。

ゆっくりと、離された。

「~~っ、人前ですっ!」

恥ずかしさで生理的な涙が目を覆う。

そんなあたしを意に介さず腕を引っ張り上げて引き摺るように歩き出した。

「先輩っ危ないですっ」

店の外まで出たところでなかなか体勢を戻せない香穂子を男の人にしては細い腕で抱き上げてきちんと立たせた。

その上で力任せに腕を引かれれば頭も足も付いて行かない。

抱きしめられてちら、と首筋回した指先で髪を片側に寄せる。

もう、為されるが侭。

わざと露になった首筋に吐息が当たる至近距離で言った。

「俺にあんな台詞言ったんだ。本気にさせたお前が悪い。
――――覚悟しろよ?」


絶対に、他の女の子はおろか、火原先輩だって知らない柚木先輩。

その感覚を突然頭一杯に感じて、苦しくなるほどの愛しさが募る。

首元に柚木先輩の顔が当たる事すら気にならなくなって、肩に腕を回す。

「本気になったこと、後悔させませんから」

体を少し離して屈んだままの姿勢で、挑発的に笑う柚木先輩を極近い距離で正面から受ける。


「楽しませろよ?」


言ったのはたった数秒。

背を向けて腕を掴んで歩き出すのに垣間見えたのはほんの一瞬。

なのに。

意地悪でも作ったようでもなく、優しく笑ったのは、永遠のような瞬間に少しだけ見えた。




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