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オレオ

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2012.09.23 Sun 「 MY DEAR遙か2 彰紋×花梨
ED後
貴女がくれた泣きたいほどのしあわせ。
「彰紋くん、お礼言うの、今の私だよ?」

「彰紋くんっ」

暑い中、頬を真っ赤に上気させた花梨が小袖を翻し走ってきた。

歩いても構わないと思うのに、彼女もわかっているのに、それでも走って自分の元へ来てくれるのが、愛しい。

ぱちんと音を立てて蝙蝠を開いたのと、彰紋から二歩前で花梨が止まったのは同時だった。

「おはようございます、花梨さん」

「……おはよ、彰紋くん」

へにゃりと笑った喜色満面の笑顔に、隠すこと無く口許を綻ばせた。

「今日は暑いですね」

言いながら開いた扇を花梨へ向け、扇いだ。

「ふあ、ありがとー」

少し伸びた髪がほんの少し靡く。

気持ち良さそうに彰紋から送られる微風を受ける花梨に、彰紋はふと思う。

宮中なら、誰もこんなことさせてくれない。

当たり前にしてあげたいことを「恐れ多い」と遜り、悪いことをしてしまった気になってしまう。

与える幸せを、与えてくれたひと。

出会ってもうすぐ一年。

初めて「彰紋」として接してくれ、その惜しげのない優しさと、可愛いと思わせて止まない素直さに惹かれた。

帰らないでと願って半年が過ぎた。

帰りたいと泣いたことは無いが、やはり時折哀しそうな顔をする花梨に良心が痛む。

けれど、なくすなら体が千々に千切れる痛みを心で受け、二度と立ち直れない。

垣間見るその表情を見る度、叶うなら一度会いたかった彼女の両親に謝り、誓いを立てる。

どう在っても、大切だから。

「有り難う、彰紋くん。

今度は彰紋くんが疲れちゃう」

椿のように赤かった頬は、今は常の桃の花色に戻っていた。

微笑って、ぱちんとまた音を鳴らし扇を畳む。

「扇いで貰ってるとき、何か薫りがしたけど……」

「ええ、香木を薫き染めたんです。白檀を、少しだけ」

「凄く気持ち良かったよ。落ち着く感じ?

あ、でも彰紋くんの薫りは変わらないね。あたしも大好きだよ」

花梨は空いていた二歩を埋めて肩口に顔を埋めるように薫りを嗅いだ。

不作法だけれど、彰紋は自分にしかしないことを知っている。

嬉しさと平行してその近さに驚き、思わず息を呑んだ。

まだこの近さには馴れない。

「……あ、有り難う御座います」

きょとんと花梨が目を丸め、破顔した。

「花梨さん?」

「彰紋くん、お礼言うの、今のあたしだよ?」

「………そうなんですか?」

もう、と科白に堪え切れない笑みと幸せを滲ませ、彰紋の手を握った。

「彰紋くん」

「はい。なんでしょう?」

見上げる瞳がただ彰紋だけを捕らえる。

「あたし、ここに残って、悲しませたひとはいるけど、それでも」

言葉を切って、先ほど顔を埋めた肩に手を沿え、少し力を込めて背伸びをする。

ゆっくりと動いているのに、彰紋は花梨を形作る全てに縫いとめられたように動けない。

掠るだけの、口接け。

「あたし、幸せだよ。…だいすき。ありがとう」

泣きたくなるような幸せ。

幸せと言ってくれる、そのことが。

きっと、この少女に会わなければ、こんな気持ち知ること無かった。

「ぼくが、残ってくれて有り難うと言うのではないのですか?」

滲んだ涙は隠せないけれど、貴女が笑ってくれるなら、些末なことだから。



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