忍者ブログ
オレオ

2025.04.05 Sat 「 [PR]
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

2012.09.22 Sat 「 ある1日の10題【2.教室の窓から】コルダ 柚木×香穂子
白凪さんとの合同企画。


ああ、音が聴こえる。
いつもより柔らかくて、愛に溢れた、だけれど君の音。



「ん……?」
ホームルームが終わってそのまま寝ていたのか、気がつけば時間は放課後。
「ひっでー……」
誰か、起こしてくれれば良いのに、と思ったところで柚木が少し困った笑顔で「ホームルームも終わったよ」と起こしてくれた気がする。
小さく謝りながら、火原は手を組んでぐうっと強張った体を解した。
「あれ?そういえば…」
香穂ちゃんの音が聴こえた気がしたのに。
回り切らない頭を回して、音を手繰る。
(志水くんてこんな生活なのかな)
だとすれば彼の掴めない性格も、少しわかる気がする。
音を手繰っていけば、窓からが一番良く聞こえる。
「屋上?」
見えないのは仕方無いから、窓に体を預けて耳を澄ませる。
(上手く、なった)
それでも彼女の音だとわかるのは、まるで愛の力のようで。
(って、何考えてんのおれ!)
誰もいない教室で、火原は一人真っ赤になった顔を俯かせた。
酷く切りが悪いところで唐突に音が止む。
(誰か屋上に行ったのかな)
少し、胸に靄が漂う。
「ん?」
暫くして聴こえた二重奏はヴァイオリンとフルート。
(柚、木……?)
フルートを専攻する人は沢山知っているが、三年間同じクラスで、その間友達である柚木の音を聞き間違う筈が無い。
耳につくのは二重奏の旋律よりも、音の変わったヴァイオリン。
微かに、甘い音。
曲は、アヴェ・マリア。
(聖母に捧げる曲なのに?)
フルートが響く。
旋律に動かされるように、想いがほんの少し、見えた。
(ああ、だから……)
音は、本当に正直だ。
本人たちですら気付かない、小さな想いすら映して流れる。
音を運んで、風は神と、カーテンを靡かせる。
「あーあ」
存在に気付いた途端、実を付ける事はない事もわかってしまった。
だけれど涙は出ない。
きっと、彼女は微笑ってるから。
只、見えない花を揺らすのは、窓からの雄大な、甘さの孕んだ吐息。
彼女の笑顔に想いを馳せて、花が散らないようカーテンを体に巻きつけて、唯一の聴衆になった。



PR
COMMENTS
SUBJECT
NAME
EMAIL
URL
編集用パスワード
COMMENTVodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字

カレンダー
03 2025/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30
リンク
カテゴリー
フリーエリア
最新コメント
最新記事
プロフィール
HN:
美菜
性別:
女性
自己紹介:
乙女ゲー好きー!こっぷれ好きー!
バーコード
RSS
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
P R
忍者アナライズ
カウンター